イギリスの移民法は以前から国内情勢を受けて改定や変更が頻繁にありましたが、近年の中でも2024年はイギリスビザにとって大きな変化の年となっています。
4月には就労ビザの中でも現地採用者ビザとして知られるSkilled Workerビザのルール変更、また配偶者・パートナービザに代表される家族ビザに対する条件変更が実施されました。
就労関連のビザカテゴリと比べると家族ビザはルール改定・変更が少なかったこともあり、申請者のライフプランにそって申請準備から申請、審査、取得までのスケジュール・見通しをたてることが比較的容易いカテゴリでした。
しかし、今年4月の家族ビザにおける経済・収入要件の変更と今後2025年にかけて更なる段階的な変更によって、ビザ申請とイギリス移住のスケジュールを再検討し場合によっては変更を余儀なくされるケースも出てくることが予想されます。
そこで今回は配偶者ビザに代表される家族ビザカテゴリにおける最重要条件と言える経済力・収入要件に焦点を絞ってお伝えします。
家族ビザとは
家族ビザカテゴリで最も代表的なのはイギリス人あるいはイギリス永住者の配偶者・パートナーとして移住するケースです。婚姻・パートナー関係をベースにイギリスで家族として居住し最終的に永住するために取得するビザで、就労ビザなど有効期限のあるビザ保持者が家族を帯同するために申請する帯同者ビザとは異なります。
家族ビザを申請する上でなぜ経済力・収入を証明する必要があるのか、なぜ経済力が最重要条件とされるのか。それは家族ビザの目的から明らかです。パートナーとともに生活の基盤を築くためには必要最低限の生活力すなわち経済力が必要で、生活保護等の社会保障に依存することなくパートナーとともに生活していけるだけの力が備わっていることを判断するために経済力・収入の基準額が設定されています。
経済力・収入要件
イギリスで社会保障などに頼らず家族で自立して生活していくための最低年収として2024年4月以降条件づけられた基準額は£29,000です。
この金額は段階的に引き上げられることが予定されており、2024年を経て2025年初頭には£38,700になると発表されています。
2024年6月末までの時点で明らかになっている家族ビザ申請のための年収基準額の引き上げは以下のスケジュールで予定されています:
- 現在(2024年4月11日~):年収基準額 £29,000
- 2024年後半:年収基準額 £34,500
- 2025年初頭:年収基準額 £38,700
現在(£29,000)から次の段階(£34,500)への移行は2024年後半、最終的に基準額が£38,700となるのは2025年初頭と発表され、具体的な日程は明かされていません。
経済・収入要件を証明するための条件や証明方法また証明の対象となる期間は収入源によって異なります。
収入源として認められるものには給与、預金、利子・配当、不動産、年金などがありますが、例えば給与所得を使って証明するケースでは提出を求められる書類の対象期間が直近6か月間でよい場合もあれば12か月必要となる場合もあります。
そのため現時点で収入が条件(年収£29,000)をクリアしていても、ビザを申請するのが基準額£34,500に引き上げられた後になってしまうと、証明できる金額や証明しなければならない対象期間に不十分な部分がでてきしていまい申請時期を延期せざるをえない状況になってしまうことも考えられます。
また収入源によっては別の収入源と組み合わせることで条件を満たすことができるケースもあり、その場合は条件や証明に必要な対象期間の見極めに更なる注意が必要です。
年収基準額の段階的な引き上げは、基準額の大幅な上昇に対して申請者が受けるインパクトを軽減するための措置と思われますが、ビザ申請にこれまで以上の複雑さを持ち込んだとも言えます。
今回のようにルール変更があった時、また更なる変更が予定されている時は特に慎重に、最新情報を持つ経験豊富な専門家のアドバイスを受けながら計画的に準備を進めていく必要があるでしょう。
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