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ビザ情報

【eVisa】新しいビザの形 – デジタル・オンラインビザへの移行

イギリス滞在期間が6か月を超えるビザを取得すると、ビザステイタスを証明する滞在許可書としてBiometric Residence Permit Card、通称BRPと呼ばれるICチップが組み込まれたカードが発行されます。

近年発行のBRPは2024年12月31日を最長の有効期限としています。例えば2023年に3年間有効なビザを取得した場合でも発行されるBRPの有効期限は2024年12月31日までとなっています。当初、永住者に発行されるBRPの期限は10年でしたが2015年以降に発行された永住ステイタスを証明するBRPでも2024年末までの有効期限となっています。

これはイミグレーションシステム全体のペーパレス・デジタル化の一環で、2025年1月1日以降はBRPなどの物理的な滞在許可書がデジタル・オンライン化した新しいシステム「eVisa」に移行するためです。

既に現地採用者ビザ(Skilled Worker)やEU Settlement Schemeではビザステイタスの証明のデジタル・オンライン化が始まっており、また2024年に入ってからは段階的にBRP保持者に対してeVisaへの移行も開始されています。

そこで今回は新しいシステム「eVisa」についてぜひ知っておいていただきたい情報をお伝えします。


eVisaとは?

イギリスのイミグレーションシステムは申請から結果受領、その後のビザステイタス・滞在許可書に至るまで長らく紙媒体に大きく依存してきました。

 

これまでにビザ申請の一連の手続きの中で申請フォーム作成や申請費決済など部分的にオンライン化されていましたが、近年になって申請フォーム作成からサポート書類提出までオンラインで一貫して申請手続きをすることができるようになりました。

こうしたイミグレーションシステムのペーパレス・デジタル化の流れの中で、2024年はその最終段階・仕上げとも言えるオンラインでビザステイタスを証明する新しいシステム「eVisa」への移行が開始しました。

「eVisa」はこれまで滞在許可書・ビザステイタスの証明として発行されてきたBiometric Residence Permit(BRP)と呼ばれるICチップ付きカードやパスポートへの押印、ステッカー(シール)貼付といった物理的な形態で発行されてきた滞在許可書に取って代わるものです。

カードやステッカーなど物理的な形態での滞在証明は2024年12月31日をもって廃止され、2025年1月1日からはイギリスでのビザステイタスの証明はオンライン上の「eVisa」に統一されます。

eVisaを取得するために

まず一番はBRPカードが必要です。

ではなぜBRPが必要なのでしょうか。BRPには名前や生年月日といった個人情報、ビザステイタスや有効期限はもちろんのこと、ビザセンターで登録した顔写真、指紋、署名といった生体認証データがICチップに記録されており、このデジタルデータをオンライン化したものがeVisaだからです。

そのため登録に必要な情報、特に生体認証情報をデジタル化する=BRP発行・取得のプロセスを経る必要があるというわけです。

現在BRPを取得済みであれば、既に必要情報はデジタル化されているためeVisaへの移行は容易です。

BRPを持っていない、特に2012年以前に永住権を取得しパスポート内にステッカー(シール)あるいはスタンプといった紙媒体で証明が発行されている場合は生体認証情報がHome Officeのデータベース上に登録されていません。そこでeVisaへの移行のために最初にBRPの発行つまり生体認証情報を含めた個人情報をデジタル化するための申請が必要となります。永住権を紙媒体で保持していらっしゃる方がBRPへ移行するための申請はNo Time Limit、略してNTLと呼ばれます。

NTL申請

NTLは既に永住権を取得している場合のみ申請が可能です。申請には永住権を取得してから現在に至るまで継続してイギリスに居住していることをバンクステイトメント等の住所証明を提出して証明します。

永住権を取得してから年月が経っている場合、提出する書類もそれなりの量になります。提出した住所証明の書類から定住していないと判断された場合は申請が拒否されてしまうこともあるため、既に永住権を取っているからといってNTL申請で油断することはできません。

また2024年も後半を迎え現在NTL申請あるいはBRP更新申請は申請数が増加しているためか結果受領までに数か月かかっているケースが多く見受けられます。

2024年内で紙媒体による滞在証明が廃止され2025年にはeVisaによるオンラインシステムに完全移行するため、これから年末に向けて申請数はさらに増加していくと予想されますので、紙媒体で永住ステイタスの証明をしてきた方は早めにNTL申請の準備を進めていくとよいでしょう。

eVisa取得の手続き

BRPからeVisaへの移行手続きはオンラインでモバイルを用いながら行います。手続きのステップを簡単にまとめると以下のようになります:

1)UK Visas&Immigrationのアカウントを設定・登録

2)モバイルにUK Immigration: ID Check アプリをダウンロード

3)アプリを使ってBRPあるいはパスポートをスキャンし本人確認手続きを完了

4)登録したUK Visas&ImmigrationアカウントからeVisaリクエストフォームを送信

5)UK Visas&ImmigrationよりeVisaへの移行完了が通知される

手続きそのものは画面上に表示される指示に従って進めていくというシンプルなものです。またフォームを送信完了してからeVisaへの移行完了も速やかに行われます。

eVisaのメリット

この新しいオンラインシステム「eVisa」がもたらすメリットは、まず第一にスピード化が挙げられるでしょう。

イギリス国内でビザ申請した場合、審査結果が出てからBRPカードが手元に届くまでに7~10営業日ほどかかります。しかし発行プロセスに遅延が生じるなどのトラブルでBRPが届くまでに数週間かかったということも決して珍しいことではありません。またBRPが届くまではイギリス国外への渡航は避けるようにというHome Officeからのアドバイスもビザ申請者にとってはストレスを感じるものでした。

一方、eVisaではBRPの発行・到着を待つ必要がなく審査結果を受け取った直後から新しいステイタスがシステム上に反映され、BRPの到着を待たずともビザステイタスの証明やイギリス国外への渡航・再入国が可能です(※注:2024年12月31日まではイギリス国外への渡航の際はBRPを携帯すべきとされています)。

というのもイギリスへの入国・再入国の際、日本国籍者で10歳以上であれば自動化ゲート(Eゲート)を利用できます。Eゲートではパスポートスキャン時にシステム上でビザステイタス(eVisa)を参照し入国審査を自動的に行っています。

有人の入国審査を受けた場合でも入国審査官はパスポート情報からオンライン上でビザステイタスを確認できるためBRP等の物理的な書類によるステイタス確認が不要になります(※注:2024年12月31日まではイギリス国外への渡航の際はBRPを携帯すべきとされています)。

他にもeVisaのメリットとして就職・転職時に雇用先から必ず提示を求められるビザステイタス証明もオンラインで行うことができ、賃貸契約時も同様にオンラインでの証明が求められます。前者はRight to Work Check、後者はRight to Rent Checkと呼ばれこれらのチェックはすべてオンラインで行うことが義務付けられています。

eVisaで気を付けておきたいこと

デジタル・オンライン化され情報へのアクセスが容易で利便性が高いという反面、情報管理には注意が必要です。

最も懸念されるのはビザ有効期限の管理です。これは例えばパスポートや運転免許証あるいは食品の賞味期限などを思い浮かべていただければ容易に想像がつくでしょう。特にパスポートや運転免許証のように有効期限が10年、5年など数年に渡って有効なものは発行時には期限を意識していてもしばらくすると有効期限の日時はおぼろげな記憶になりがちです。そのような時に物理的に手に取って実際に確認できるものがあると有効期限へ注意を向けやすく、また期限までに更新することを意識しやすくなります。

しかしeVisaのようにオンライン化されている情報はBRPのように現物を手に取って確認することがないため、自ら意識的に情報にアクセスするようにしなければ有効期限への意識が希薄になり、気が付いたらビザ有効期限が切れる直前だった、さらには既に有効期限を過ぎていた、というようなことにもなりかねません。

また、UK Visas&Immigrationのアカウントでは個人情報が紐づけられていますが、以下の情報管理は自己責任となります:

  • Mobile phone number
  • Email address
  • Name
  • Identity document, such as your passport or national identity card
  • Home address

特にパスポート番号はEゲートでの自動入国審査の際の参照データとなるため、パスポートを更新・変更した場合は速やかに情報を更新しておかなければならない最たるものです。

新しいシステムが導入される時、特に初期段階においてはエラーや混乱が生じやすくなります。また忙しい日常に追われてこうした情報管理はつい後回しにして疎かになってしまいがちです。ビザ有効期限やeVisaでの個人情報の管理などについても専門家のアドバイスを受けておかれることを強くお勧め致します。

イギリスのビザに関するご相談、ご質問はぜひ一度弊社までお気軽にお問い合わせください。

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