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ケース

コロナ影響下のSponsor Licence-就労ビザスポンサーの法律遵守と責務

コロナ影響下のイギリスイミグレーションシステムは状況に応じた対応・対策が講じられ徐々に秩序を取り戻しつつあります。

しかしながらコロナの影響は、思わぬところにまで及んでいることがあります。特に企業間異動者を抱える企業では、イミグレーションルール上の対応のみならず、イギリス国内と本国事情など多岐にわたる調整には判断が難しいことも多くあったのではないでしょうか。

そこで今回は、今しばらくコロナの影響下にある現在の状況から、スポンサーライセンスを保持する雇用主として留意しなければならない点をケーススタディを交えてお伝えいたします。
スポンサー責務とは

日本人をはじめとする非EEA国籍者に対し就労(Tier 2、Tier 5)ビザの発行をスポンサーする場合、雇用主となる企業はHome Officeに申請し、Sponsor Licenceを取得する必要があります。

外国籍の労働者を雇用し、また管理監督ができるだけの体制が整っていることを証明できた場合にライセンスは付与されます。現在イギリスでライセンスを保持する企業や団体は約31,000程ですが、ライセンスを付与されるにあたってスポンサーにはイミグレーションルール遵守とスポンサーしているTier 2・5ビザ保持者に対する管理およびHome Officeへの報告義務が発生します。これが、ライセンスに付帯するスポンサーとしての責務です。

コロナ影響下でのスポンサー責務/報告義務

スポンサー責務の中で主だったものとして、例えばスポンサーしているビザ保持者に関する報告義務があります。

ビザ保持者のイギリスでの自宅住所等の連絡先はもとより、初日勤務開始日の記録や勤怠状況などを管理し必要に応じてオンラインシステムであるSponsor Management System(SMS)を通じてHome Officeへの報告を行わなければなりません。また報告は遅延なく行わなければならず、ほとんどの場合は10営業日以内が期限となっています。

通常時であれば、こうした報告業務を遅延なく行うことは怠ってはならないものの、スポンサーにとって大きな負担になるようなものではないでしょう。

ところが新型コロナウイルスの影響が拡大するにつれ、新任者のビザ申請プロセスが途中でストップしてしまった、ビザは取得していたものの渡航制限のためにイギリス入国・勤務開始ができず、入国の予定すら立てられないなど、これまでにない状況が発生し、Home Officeに報告しなければならないものの、現行のイミグレーションルール上では対応しきれないケースも多発しています。

ケーススタディ-勤務開始日の大幅な遅延

それではここで、Tier 2 ビザをスポンサーしているA社のケースを例に挙げてみましょう。

A社では4月1日の勤務開始予定で、日本人の雇用者に対してTier 2ビザの手配をしました。3月末のイギリス入国を予定し申請とビザ取得を完了していましたが、コロナの影響拡大により3月中の渡航を見合わせ勤務開始日も3週間ほど遅らせることを決定しました。

イミグレーションルール上では、Tier 2ではビザ申請の際に発行したCertificate of Sponsorship(CoS)に記載されている勤務開始日(Work Start Date)を延期する場合は最大28日までと定められています。そこでA社はルールに則って期限内である4月28日を勤務開始日として再スケジュールしました。

ところがコロナの影響が日に日に拡大し、着任予定のプロジェクトは日程は未定で夏以降の開始、また着任者の安全も考慮し最低でも9月まではイギリスへの渡航を見合わせる決定をせざるを得ない状況となりました。

ここで問題になってくるのがイミグレーションルールです。

当初予定していた勤務開始日を4か月以上も延期することはイミグレーションルール上の違反となってしまいます。また、プロジェクト開始の日程は夏以降、と漠然としていたため着任者の入国スケジュールも立てられず、該当プロジェクトでの勤務を開始できない以上リモートワークという形態をとることもできません。このような事例はHome Officeから発表されているガイダンスには記載がなく、またA社には参考となるような前例もないため、法遵守の面からもまたスポンサー責務の面からも大変難しい局面に立たされてしまったのです。

このA社のケースでは、コロナの影響拡大によって勤務開始日を延期せざるをえない状況であることを早期にHome Officeへ報告しアドバイスを得た結果、9月1日の勤務開始としてTier 2 ビザ取得者を法的に問題なくイギリス入国させる手続きを完了させることができました。

コロナのような不測の事態が発生した場合でも、スポンサー責務を果たすためにはHome Officeへの報告は非常に重要な意味を持ちます。また、非常事態下はもちろん通常時にも報告業務をおろそかにしないことが大切であることは言うまでもないことでしょう。スポンサー責務を果たしていないと判断された場合は、ライセンスの差し止めや剥奪などの罰則が科せられビジネスに大きな影響を及ぼしてしまいます。

2021年1月からは新就労ビザシステムが開始され、これまでの非EEA国籍者に加えてEEA国籍者についてもスポンサーライセンス下での雇用となるケースがでてくるため、イギリスでビジネスを展開する上でスポンサーライセンスが果たす役割はますます大きくなっていきます。

これまでに規模の大小を問わず様々な業種の企業のスポンサーライセンス、スポンサー責務のサポート、そして幅広い職種でのTier 2ビザのビザ申請・延長手続きのサポートを提供してまいりました。豊富な経験からイミグレーションルールを分かり易くご説明しながら、新たなスポンサーライセンス申請やライセンス延長、そして日々のスポンサー責務のサポートまできめ細かくアドバイスさせていただいております。

イギリスのスポンサーライセンスや就労、起業や支社設立をお考えの際はぜひ一度弊社までお気軽にお問い合わせください。

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