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IMMIGRATION.UK NEWS

2017年 12月イミグレーションルール変更

2017年も残すところあとわずかとなった12月7日、イギリス内務省(Home Office)よりイミグレーションルールの変更が発表されました。

細かな修正を含むとかなりの量となりますが、主だった変更点は以下の5カテゴリに関する変更に絞られます。

1)永住権(Indefinite Leave to Remain)

2)Tier 1 Exceptional Talent

3)投資家ビザ(Tier 1 Investor)

4)起業家ビザ(Tier 1 Entrepreneur)

5)就労ビザ(Tier 2 GeneralおよびIntra-Company Transfer)

順にそれぞれの変更に関してみてみましょう。

1)永住権(Indefinite Leave to Remain)に関する変更

現在、永住権申請の際の条件のひとつとして、ビザを保持しつつイギリス国内に年間180日以上滞在していることを証明する必要があります。

イギリス国外での滞在が年間計180日を超過してしまった場合はこの条件を満たすことができないため、永住権申請が困難となってしまいます。ただし、これまでこの条件は主申請者のみに適用されており、配偶者はこの条件から免除されていました。

しかし、今回の法改定によってTier 1、2、4といったPoint-Based Systemのビザを通して永住権を申請する場合の配偶者にも年間180日以上のイギリス国内滞在条件が適用されることとなりました。

ただし、この法改定は2018年1月11日から実施されるため、この日以前の滞在に関しては対象外となります。今後Point-Based Systemのルートから配偶者の方とともに永住権申請をお考えの方は、イギリス国外での長期滞在にはご留意ください。

また、就労ビザ(Tier 2)から永住権を申請する際は、最低5年間就労ビザを保持してイギリスに滞在することが必須条件です。変更前の法律では就労ビザで滞在する5年の間は途切れることなく継続して勤務している必要があり、就労にギャップが発生してしまうと申請条件を満たすことができない場合がありました。

就労にギャップが生じるとは、例えば、現在の雇用先(スポンサー)から新しい雇用先へと変わる場合、現行ルールでは退職から60日以内に新しい雇用先のもとで就労ビザを申請しなければならず、60日を超過した場合は雇用にギャップが生じたとみなされます。このギャップは現行ルールのもとでは永住権申請の際の妨げとなります。

今回の変更によって条件である5年間の就労ビザでの滞在のうち、継続勤務にギャップが生じた場合でも永住権の申請が可能となりました。ただし、この変更は2018年1月11日以降に発行されたCertificate of Sponsorshipを取得している場合にのみ適用されますのでご留意ください。

2)Tie 1 Exceptional Talent

Tier 1 Exceptional Talentとは、芸術や文学、人文科学、IT・デジタルテクノロジーなどの分野において世界的な実績をあげている才能あふれる人材を対象としたビザカテゴリです。

このビザの発行数は年間1,000件までと枠が設定されており、また選考基準も厳しいために受給者数もかなり限られていたカテゴリでした。今回の変更により、年間1,000件だった枠を2,000件にまで引き上げ、審査に関しても円滑に処理されるようになります。

また、Tier 1 Exceptional Talentビザ保持者に関してはこれまでこのビザを保持して5年間イギリスに滞在することが永住権申請のための条件でしたが、5年間の滞在要件が3年で申請可能と変更される予定です。

3)投資家ビザ(Tier 1 Investor

投資として不動産購入した場合、その不動産はビザ保持者の主たる住居でなければならず、もし共同所有者がいる場合は、ビザ保持者の所有割合分のみが認められることとなります。

4)起業家ビザ(Tier 1 Entrepreneur

起業家ビザに関する今回のルール変更はビザ延長の際、あるいはAcceleratedルート(※)から永住権の申請をする場合に深く関わってくるでしょう。起業家ビザの申請、特に延長の場合はそれぞれのビジネス形態も異なり、そのため必要条件を満たしているかどうかの見極めが大変困難です。今回の変更によっていくつかの条件や定義が細分化されました。

(※)Acceleratedルートとは、起業家ビザ保持して起ち上げた事業において年間500万ポンド以上の売上を計上する、あるいは新規雇用を10件以上創出するなど、ビジネスにおいて規定以上の成果を出した場合に永住権申請に必要とされる5年の滞在期間を3年にまで短縮できるルートのことを指します。

その中のひとつは、雇用創出に関するものです。起業家ビザの延長や永住権申請のための条件のひとつとして雇用創出があります。この雇用創出の条件を満たしていることを証明するためにも様々な条件がありますが、この条件に関してこれまで幾分不明確だった定義が今回の変更によって明確化されます。

起業家ビザ申請・延長には起業資金に関する証明が必須であり、またかなり重要になります。第三者からの資金によって起業資金を証明したり、また企業やベンチャーキャピタルからの資金によって起業するなど様々な方法によって起業資金を証明することができます。さらにビザ申請する際に証明した起業資金とは別の事業あるいは資金源から調達し、起業するケースなどもあり、起業資金に関する証明は複雑な場合が多くあります。今回の法改定では、起業家ビザ保持者内での起業資金の流用・再利用を防ぐという意味でも、起業資金に関する定義を明確化・細分化しています。

5)就労ビザ(Tier 2

学生ビザ(Tier 4)保持者の就労ビザへの切り替えの際、これまでは申請には必ず就学コースを修了したことの証明として学位証明あるいは最終の成績証明の提出が必要でした。

そのため、学生ビザ保持者はコースが修了してもすぐに就労ビザを申請することができず、大学側から書類が発行されるまでビザ申請を待たなくてはなりませんでした。しかし、今後はコース修了後、成績証明書の発行まで待つことなく、就労ビザの申請が可能となります。

また、就労ビザの中でも企業間異動者ビザ(Tier 2 Intra-Company Transfer)の場合は、勤務開始日の遅延に関する規定がなくなるためより柔軟に勤務を開始することができるようになります。

上記の5つのカテゴリ以外にも、デジタル入国許可書の導入など、イミグレーションシステムをより効率的なものにしていこうという試みもなされる予定です。

イギリスのイミグレーションルールは頻繁に改定されおり、前もって告知される場合もありますが、変更の発表が実施の直前あるいは予告なく行われることも度々あります。

今回12月7日に発表された変更は基本的に2018年1月11日より実施となります。それぞれの変更に関する詳しい情報についてはどうぞお問い合わせください。

2017年もEU離脱問題を筆頭に政治的動向・変化の激しい一年となり、来る2018年もますます移民に関わる諸問題から目を離すことができない一年となることが予想されます。

ASTONSではイギリスの移民法に特化した経験豊富なスペシャリストが最新の情報を元にアドバイス・申請サポートを提供しております。ビザに関する疑問や不安など、小さなことでもどうぞお気軽に、またお早めにご相談ください。

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