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ビザ情報

就労ビザ(Tier 2)の現状 (3)

毎年4月は年度の切り替え時として企業の決算や人事面で大きな節目とされ、イギリスの移民システム上でもHome Office Feeの改定やルール変更などのタイミングとなることが多くあります。

そのため2月末から3月そして4月にかけて特に就労・Tier 2ビザ関連の申請数が上昇する傾向がみられます。

そこで今回は、Tier 2ビザ申請の最新の状況についてお伝えいたします。

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イギリスで雇用主の元で就労する場合は、2008年から導入・実施されているポイント制システム(Point-Based System 以下PBS)の中でも、Tier 2カテゴリでビザを申請し取得する必要があります。

このTier 2ビザはPBSが導入されるまでは労働許可書(Work Permit)と呼ばれ、申請・取得のプロセスは現在と比べると比較的緩やかで取得しやすかったと思われます。

しかしPBS導入以降、特にここ数年はTier 2申請者の雇用主(Sponsor)への法遵守に関する監視が強化され、さらに昨年2017年からはImmigration Skills Chargeと呼ばれる新たな金銭的負担も加わりTier 2ビザ申請・取得が年々厳しくまた難しくなっています。

Tier 2ビザ申請・取得を困難にしていると思われる要素は他にもいくつか挙げられますが、2018年4月現在、最も申請を難しくしていると思われるのは、職種毎に設けられた最低給与額に関する問題です。

Tier 2ビザと一口にいってもTier 2にはいくつかサブカテゴリが設置されています。現地採用者として就労するGeneral、企業間異動者いわゆる駐在社員として勤務するためのIntra-Company Transfer(ICT)、その他にもスポーツ選手のためのSportspersonや宗教関連に従事するためのMinister of Religionといったサブカテゴリもありますが、申請者の数からいってもTier 2ビザのカテゴリはICTとGeneralに大きく分けられるといってよいでしょう。そのため、本稿ではTier 2についてはICTとGeneralを取りあげています。

ICTあるいはGeneral、どちらのサブカテゴリの下で申請するにしても、Tier 2ビザを申請する場合は予定年収額が規定を上回るものでなければなりません。しかし、この予定年収金額の見極めは複雑なものとなっています。

イギリスではあらゆる職業がRegulated Qualification Framework(RQF)に基づきレベル分けされており、Tier 2ビザを申請するためには原則的に就業予定の職種がこのRQFのLevel 6以上の仕事である必要があります。RQFによるレベル分けの他にもShortage Occupation-需要が高いにも関わらず慢性的な人材不足のために早急な人材供給の必要に迫られている職業-として政府が指定した特定の職業に就労する場合もTier 2ビザの申請が可能です。

また、職業がレベル分けされているだけでなく職業ごとに最低見込み年収も定められており、ビザ申請の際にはこの職業ごとの最低見込み年収を上回る収入を雇用者から保証されていなければなりません。

そしてさらに、申請するカテゴリがICTかあるいはGeneralかによっても最低基準額が設定されています。そのため、たとえ職業ごとの最低見込み年収額を満たしていても、カテゴリごとの基準額に達していなければビザ申請しても申請拒否されてしまうことになってしまいます。

このように就労関係のビザの中でもTier 2ビザの申請には給与額が大きく関わってきます。

そして昨年末から今年4月にかけてTier 2ビザの申請、特にGeneral(現地採用者)カテゴリがより一層申請困難なものとなっており、このような状況を作り出している要因もまたこの給与額なのです。

Generalカテゴリでは、日本やアメリカ、中国などイギリス以外の国からの申請に対して年間の受入れ者数の上限が設定されており、Home Office側でこの人数をコントロールするために毎月ビザ申請の際に必要となるCertificate of Sponsorship(CoS)の発行数を監視・制限しています。その数は年間で20,700までとなっており、これは月ごとに分配されますが4月から9月は毎月2,000件、10月から1月は1,500件/月、2月は1,000件、3月は2,200件というように決められています。

雇用主であるSponsorがCertificate of Sponsorship(CoS)を発行するためには、発行前にHome Officeに申請する必要があり、申請が認められた場合ににおいてのみCoSを発行することができます(※Generalカテゴリの中でも一部例外有り)。このCoSの発行数が上述のようにHome Officeによってコントロールされているわけですが、申請数が少ない場合は翌月に未消化分が持ち越され、特に申請に影響を及ぼすようなことにはなりません。

ところが申請数が制限数を超えて多かった場合、ここで予定年収の額が問題となってくるのです。

CoSの申請数が制限数を超えると、Home OfficeではCoSをポイント制によって審査し、獲得ポイント数が高いCoSから順に申請が許可されていきます。CoSの審査で付与されるポイントは、職業レベルによるポイントと予定年収額によるポイントの合計で算出されます。

職業レベルのポイントでは、Shortage Occupation として指定されている職業やRegulated Qualification Framework(RQF)のLevel 6以上となるPhD(博士号)レベルの職業などには高ポイントが付与され、それ以外の職種では3分の1以下のポイントとなる場合もあります。予定年収額によるポイントでは、年収が高ければ高いほどポイントが高くなり、60ポイントから1ポイントまでの間で計算されます。

つまり、職業レベルが高くまた予定年収額が高ければ高いほど獲得ポイントが高くなり、職業レベルがShortage OccupationでもなくPhDレベルでもなく、また給与額がさほど高額ではない場合は獲得ポイントは相対的に低くなってしまうということになります。

CoSの申請は獲得ポイント数が高いものから申請が許可されていくため、獲得ポイントが相対的に低かった場合、予定年収額が基準額に達しているにも関わらずCoSの申請が認められずにビザ申請のプロセスを先に進めることができない、という事態が発生してしまうのです。

実際に昨年秋から今年4月はCoSの申請数が増加したことにより毎月のCoSの発行数が上限に達してしまい、CoSの許可が下りずにビザ申請ができないというケースが増えています。

毎年4月6日には年度が切り替わりTier 2の年間受入れ者数のカウントも改められますが、昨年末からCoSの許可が下りずに申請し続けているケースが累積していると思われ、予定給与額がTier 2申請に与える影響はますます増大しているようです。

就労関連のビザの中でTier 2の申請はサブカテゴリ(General、ICTなど)によっても適用される条件が異なり、厳密に定められた条件を見極めるにも特に細心の注意が必要となります。また、ビザ申請には実際は様々な要素が絡んでいるため、移民法に関する知識と経験、そして最新情報が何より重要となります。

ASTONSではイギリスの移民法に特化した経験豊富なスペシャリストが最新の情報を元にアドバイス・申請サポートを提供しております。ビザに関する疑問や不安など、小さなことでもどうぞお気軽に、またお早めにご相談ください。お問い合わせはこちらからどうぞ。

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