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UK VISA TODAY

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ビザ情報

2019年9月9日発表 イミグレーションルール改定

EU離脱をめぐり議会に緊張状態が続く中、2019年9月9日イミグレーションルールの改定が発表されました。

今回の改定は主に就労ルートに関連するもので、またEU離脱に関わる変更についても別途アナウンスされています。

弊社商号をImmigration.UKと改めて最初のUK VISA TODAYでは、9月9日発表の改定の中でも就労ルートのひとつTier 2カテゴリの改定点に焦点を絞ってお届け致します。

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近年のイギリスでは、移民削減政策に基づきイミグレーションルールは硬化していく傾向にあります。

その中でも就労、特に雇用を通じてのルートであるTier2カテゴリは、イミグレーションルールはより厳密に、また不法就労の取締り強化もあり雇用者(スポンサー)側の法遵守に対する監視も年々強化されてきました。

全世界的にも法遵守はますます重要視されており、イギリスでもその姿勢が失われることはありませんが、その上で今回の変更はイギリスがTier2カテゴリでの就労に対して前向きな姿勢を示していると考えられるでしょう。

2019年9月発表の法改定の中で、Tier2カテゴリにおける変更の核となるのは人材不足職業リスト(Shortage Occupation List)と博士号レベル職業(PhD level Occupations)の二点です。

まず、人材不足職業リストに関連する変更点から見ていきましょう。

イギリスでは国内における職業をすべてStandard Occupational Classification Code(通称SOC Code)によって区分し、また各職業はレベルによって分類されています。イミグレーションルールの観点からポイントとなる職業レベルは大別して、博士号(PhD)レベル、レベル6、レベル4、あるいはそれ以下、の四段階があり、ビザ申請には該当する職業が基本的にレベル6以上であることが条件です。

しかし、この条件には一部の例外があり、そのひとつが人材不足職業リスト上の職業となります。人材不足職業リストに掲載されている職業であればレベル6以下に分類される職業であってもTier 2カテゴリでビザ申請することができます。

人材不足職業リストとは、イギリス国内で需要が高く人材が必要とされながらも国内労働市場で人材を調達することが難しい職業をリストアップしたもので、イミグレーションルールで定められているものです。

これまで人材不足職業として認定されていた職業には医師、看護師、IT・理数系教員、社会福祉従事者や専門調理師などがありましたが、今回の改定ではこのリストに新たに生物科学者、心理学者、獣医、建築家などが加わり、人材不足職業リストに拡がりが見られました。

人材不足職業として認定されている職業でビザ申請することには、二つの利点があります。ひとつは国内労働者市場テストと呼ばれる雇用者側の求人活動の義務の免除、そして永住権申請時には所得額に関する条件から免除されるという点です。

永住権申請の際の年間所得規定から除外される、という点は人材不足職業でのTier2ビザ取得の大きな利点です。

Tier2ビザを通じて永住権を申請する場合、年間所得がある一定の基準を満たしていなければなりません。しかも、その基準額は2019年4月6日以降の申請は£35,800、来年2020年4月6日以降は£36,200と年々その金額は上昇していくため、この条件から除外されるということは永住権申請者にとって、所得額に関する負担が軽減されます(※注1)(※注2)。

(※注1 : 但し職業別に定められた最低給与額を満たしている必要があります)
(※注2Tier2 ICTからの永住権申請の場合、201046日以降にTier2 ICTを取得した場合、永住権申請はできません)

つぎに注目すべき点は、博士号(PhD)レベルの職業についてです。

これまで博士号レベルの職業については、国内労働者市場テストと呼ばれる雇用者側の求人活動の義務の免除、またTier2ビザを通じて永住権を申請する場合の所得額規定の免除という利点がありました。それに加えて今回の改定によって、更に年間申請者数の規定からも除外されることとなります。

Tier2の中でもGeneralカテゴリ、なおかつイギリス国外からの申請の場合は、年間で申請数は限定されており、年間総数20,700、さらに月毎にその数は割りあてられ、このルートでの入国者数をコントロールしています。申請数がこの上限に達した場合は申請することはできません。しかし、博士号レベルの職業で今後申請する場合、この規定から除外されるため、上限数に関わりなく申請することが可能です。

さらに、博士号レベルの職業の場合、永住権申請の際、所得額規定の他にも研究・リサーチ目的の海外渡航が認められる点で今後有利となります。

博士号レベルは職務の一部として研究が含まれる場合が多く、研究・リサーチがイギリス国外で実施されることも珍しいことではありません。またその際の滞在が長期に渡ることもあります。そのため、永住権申請の条件のひとつである年間180日以上のイギリス居住という規定が永住権取得のネックとなるケースがあり、博士号レベルの人材を招聘する際のひとつの障害となってきました。

それが今回の改定により、今後は雇用先での研究・リサーチ目的の海外渡航はイギリス居住日数として認められるようになります。このようにハードルを取り除くことで、永住権取得につながる職業・ビザルートとしてより多くの優秀な研究者・人材の招聘と確保へつながることが期待されています。

EU離脱を前に様々な問題が山積している中で発表された今回の改定は、来るべき離脱後の国内労働力減少を見据えた人材確保のための策のひとつであると見ることができます。

またこの改定以外にも、2012年4月に閉鎖されたイギリスの学位取得者が卒業後に滞在延長できるPost Study Work(PSW)ビザを今後復活する計画があることを政府が発表しています(※注3)。

(※注3:正式な実施開始日程は現段階で未発表)

このようなことからもEU離脱を見据えて、学生や研究者も含めた優秀な人材そして労働力確保のため、不安定かつ予測困難な状況の中でもイギリス政府が本腰を入れて取り組んでいることが伺えます。

今後もイギリスイミグレーションの動向は注意深く見守っていく必要があるでしょう。

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本号でお伝えした改定点以外にも新たな追加事項や変更などもあり、イミグレーションルールの見極めには細心の注意が必要です。

イギリスイミグレーションに関するご質問・ご相談はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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