2018年もあと1か月ほどを残すばかりとなりました。
来年3月のEU離脱という歴史的な変化を前に、この一年イギリスの移民法にも規模を問わず様々な変更・改定がなされました。そこで本号、次月号の2回にわたって今年一年のイギリス・イミグレーションの動向を振り返ってお伝えいたします。
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本年2018年は、イミグレーションルールの改定実施とともに幕があけた一年だったと言えるでしょう。
日本ではまだ新年の余韻が残る1月11日、主に大きくは永住権申請、Tier 1 Investor、EntrepreneurやExceptional Talent、そしてTier 2といった就労カテゴリのビザに関するルール改定の実施となりました。
これらの変更点は強化の方向に向けたものと緩和ともとれるものもあり、いずれにしても十分な注意が必要とされるものでした。
特に変更・導入時だけでなく今後の申請に大きく影響を及ぼすものとして挙げられる法改定は、永住権申請の際の滞在日数に関する条件です。
イギリス国内滞在日数に関する条件とは、永住権は一定の滞在年数を経た後に申請しますが、申請の対象となる滞在期間中は年間180日以上をイギリス国内にに居住していなければならない、というものです。
そのためイギリス国外での滞在が年間計180日を超過してしまった場合はこの条件を満たすことができないため、永住権申請が困難となります。
この法改定が実施される以前は、主申請者のみにこの滞在日数に関する条件が適用されていました。しかし、法改定によってTier 1、2、4といったPoint-Based System(PBS)のビザを通して永住権を申請する場合の配偶者にもこのイギリス国内滞在日数に関する条件が適用されることとなったのです。
これまではPoint-Based Systemの配偶者の中にはビジネスなどの理由でイギリス国内を離れることが多く180日以上滞在することができなかったとしても永住権申請には影響がありませんでしたが、今後はこの滞在日数を満たすことが難しいケースも多くでてくることが予想されます。
今現在、PBSカテゴリの帯同家族としてビザ申請する際には、その家族関係が虚偽のものではないこと、また継続したものであることを証明しなければなりません。
旧来の法ではその正当性や継続を証明せずとも家族関係の成立を証明できればその点は不問でした。これは偽装によるビザ申請・取得を抑制するための措置であると考えられ、本年1月の帯同家族への滞在日数条件もこの流れを汲んでの実施と考えられます。
毎年上昇していく申請費や、ビザ申請者の正当性の取り締まり・見極め強化のための法改定をみるにつけ、来年以降もますますイギリス内務省は移民削減へと進んでいくように見受けられます。
現在のイギリス移民法は国内政情をダイレクトに反映し厳密さを増す一方の状況にあります。
変更の規模を問わず頻繁に改定・更新が繰り返され、2018年もまたいくつかの法改定、またイギリス国内の申請においては大規模なシステム変更がありました。次号ASTONS LAW イミグレーションアップデートでは、2018年イギリスイミグレーションの軌跡(2)として11月から導入されている新システムに関してお届けする予定です。
難解で複雑さを増す現在の状況の中では、ちょっとした間違いや勘違いが今後の生活に大きな影響を与えることにもなりかねません。些細なことでもビザ申請・延長の際には専門家のもとで最新情報と状況確認をすることで不測の事態を未然に防ぐことにつながります。
ASTONS LAWはイギリス(England and Wales)のの事務弁護士機関であるThe Solicitors Regulation Authority(SRA)公認のイギリスイミグレーションのスペシャリストです(※)。
(※)「ASTONS LAW」はThe Branch Office of Barar & Associates Ltdのトレーディング名です。SRA登録(ID 650775)は The Branch Office of Barar & Associates Ltdの名前のもとでなされています。
これまでに培ってきた長年の経験と豊富な知識をもとに専門性・信頼性の高いサービスを提供しております。イギリス移民法に関してのご相談・ご質問についてはお電話あるいはメールでどうぞお気軽にお問い合わせください。